「栄養ドリンクの試飲」を考える

家の近くのドラッグストアで、栄養ドリンクの試飲が行われていた。

「栄養ドリンクの試飲とは、これまた面妖な」と思いつつ無視したのだが、改めて考えてみると、このイベントには若干の違和感を表明さぜるをえない。

試飲といえば通常は、ビールやワイン、もしくは酎ハイといったアルコール飲料が供されるものと相場が決まっている。

それはなぜかといえば(“なぜかといえば”という言い方も大げさだが)、これらの飲料はその場でおいしい・まずいの味覚判断ができるからだ。

舌に合えば(かつ金銭的に余裕があれば)購入し、合わなければそれを見送る。

ところが栄養ドリンクにおいては、こういった味覚判断が可能ではあるのだが、しかしそれは購入する際の決め手ではない。嗜好品としてのアルコール飲料とは違い、栄養ドリンクは身体の疲労を回復させるのがその主たる機能・効能であり、味は本来二の次であるはず。

しかも、これが大切なポイントなのだが、そういった身体への疲労回復効果の有無の判断は、ドリンクを飲んだからと言ってその場ですぐにできる類のものではない。

つまりは、この点のみからバカ正直に考えれば、栄養ドリンクの味の如何に関わらず、この試飲が可及的速やかな購入に結びつくとは考えにくい。

一般的な話として、栄養ドリンクに疲労回復効果があることを認めるのに自分はやぶさかでないが、しかしドリンクに即効性または強力性があるかと問われれば、それは限りなく乏しいと返答せざるを得ない。

飲むや否や見る見るうちに体の疲れが解消されて元気百倍あん○んまん、とはいかないものだ。

要するに、栄養ドリンクは試飲に適した商品ではない。

そういった事が懸念されながら、あえて試飲の実施に踏み切ったということは、販売促進費を提供しているであろう製薬会社自身が「栄養ドリンクなんて、効果は二の次です。人の口へ入るからには、味が一番大切なんです。お偉いさんにはそれが分からんのです」と認めてしまっているようなものではないか。


とここまで書いておきながら、筆者はある1つの可能性に気が付いてしまった。

「試飲後に効果を実感していただければ、次回来店されたときにぜひご購入を」

こう考えたとしたらどうだろう。うーん、これは盲点だった。


しかし何よりいけないのは、自分はこのエントリーを、例の栄養ドリンクを試飲すること無しに書いているという事実である。これは欺瞞に他ならない。