小沢さんの問題についてもう少し考えてみる

公設秘書逮捕という第一報を目にしたときからドキドキワクワク、胸の高まりを抑えられず思わず口元が緩んでいたのだが、どうも議論が錯綜・混乱していて、イマイチ分かりにくい。自分のためにも、少し問題を整理してみたい。

①けっきょく何が問題なのか?
しょびかれた公設秘書の罪状は「政治資金規正法違反」である。よく耳にする名称だが、法律自体はわりとシンプルな構成となっている。

同法によると、議員個人(の資金管理団体)は企業から政治資金を一切受領できない。ところが、政治団体からの献金は認められている。つまり、ある企業が単体で、もしくは複数集まってある政治団体を結成し、そこから金銭なりなんなりを議員へ渡したとしても、それは罪に問われない。

しかしここで問題となるのは、政治資金を運営するために設けられたその政治団体に、それとしての活動実態(政治的主張を掲げて何らかの政治活動を行う)が存在するか否かである。

今回の例で言えば、西松建設のOBが代表を務めていた2つの政治団体に、そうしたいわゆる政治活動の痕跡が見当たらず、実態は企業献金であるはずの政治資金に関して、その違法性を阻却するため、まあ簡単に言えば法律に違反しないお金に見せかけるためにこれらの政治団体が設立されたんじゃないか、ということだ。

そうすれば、少なくともうわべでは政治団体からの献金とアピールすることができ、違法性も問われにくい、と判断したのだろう。

また「実態は企業献金」というのがどういうことかというと、西松建設が社員から例の政治団体の会費を募り(=それだけなら問題は無い、らしい)、その上その会費分を給料に上乗せしていたとされている。

要するに何が問題なのかといえば、この2つの政治団体が、もっぱら企業献金の隠れ蓑とするために設立されたダミーの団体であるのかどうか、ということである。

②もしそれがほんとうだとすれば、どういう罪に問われるのか?
実態が企業献金であったことが今後の捜査で明らかになると、これは政治資金規正法に言うところの「寄付の量的制限違反」が疑われる事態となる。

ところが、これが事実であると裁判で認定され有罪の判決が下ったとしても、罰則は1年以下の禁固、または50万円以下の罰金と、実に軽微なのである。微罪と言っていい。

微罪だからどうなのだと言われるとそれまでだが、万引きと同程度の罰則にしかならないこの罪のみで、野党第一党の党首の公設第一秘書を逮捕したとは考えにくい。つまり他に何かあるのではないか、と推測するのが自然だと思う。

少しずつ報道で流れ始めているが、逮捕された秘書が献金の見返りとして、公共事業の受注で口利きをしていたんじゃないか、と言われている。

そうなればこれは、あっせん利得処罰法や収賄罪に問われることになる。検察はこの辺りまで視野に入れているのだろうか? むしろそこまでは立件できないと、国策捜査のそしりは免れないとも思うのだが。

③これは国策捜査か?

この一連の逮捕劇が国策捜査であったかどうかを判断するには、まだその材料が足らない。民主党の幹部と一部のマスコミはこれを国策捜査だと決め付けたいようだが、そうなると二階経産相の側に事情聴取の手が及んだ理由が曖昧になる。
ただ、国策捜査の色を薄めようとして、あくまでポーズとして聴取するのではないか、と穿つことは不可能ではないが。

いずれにせよ、国策捜査かどうかを判断する材料が足りないと言っておいてなんだが、そんなことはおそらく未来永劫分からないだろうなあ。


うーん、読み返すとあんまり整理できてない気が…


国策捜査って本当にあるのかも! とウキウキしてくる本。