なんとまあ悠長なことで

今日、というか正確には昨日だが、ぐうぜん国会中継を見た。

参院予算委員会質疑の様子だったのだが、その議論の内容に愕然とした。つまり、サブプライムローン問題の原因などについて話をしている議員が、未だにこの国会にいるとは驚きなのである。

大恐慌だのケインズだの有効需要だの、はたまた金融工学やらデリバティブやらなんやらかんやら。

なにゆえ今回の不況が訪れたのか。これは経済学的に興味深いテーマなのだろうが、政治家は、現実に経済が停滞している現状を鑑み、打てる限りの対策を立て、それらを実行してこそ存在価値があるのではなかろうか。

専門的な用語を並べ立てることで自分の知性を披瀝し(しかして実際は知性の底浅きを暴露している)、そして溜飲を下げているようでは、政治に期待できないという世論が澎湃とするのは致し方の無いことかもしれない。

不況の原因究明など、エコノミストや学者に任せておけばよい。あるいは経済が回復したとき、始めて議論をすればよい話だ。

実に悠長なことである。


民主党小沢代表の公設第一秘書が逮捕された。政治資金規正法違反の疑いあり、とのことだ。

選挙を控えているという時期柄、同党の議員を中心に陰謀論が喧しい。

しかしこれらの批判は見当違いだ。選挙は今年中に行われるが、しかしまだ時期は全く決まっていない。

いつ選挙が行われるか分かっていないのだから、検察が遠慮する必要は毛頭無い。ましてや確かな証拠を掴んだ上での逮捕というから、早くしょっぴかないと証拠をもみ消されるかもしれないし、また政治資金規正法の公訴時効の問題もあると聞く。

西松建設政治団体から献金を受けた議員は複数いるが、その中であえて小沢氏の秘書のみが逮捕されたということは、彼らとこの秘書を隔てる何らかの要素が存在しているということだ。おそらくは違法性の認識や悪質性という点だろう。悪いことだと分かっていたかどうか、ということだ。そしておそらく、くだんの秘書はそれを理解していた。

その証拠を検察は握っている。だからこその逮捕であろう。


法律の抜け道を巧妙にくぐっているという点では工夫も見られるが、それ以外はあまりにステレオタイプ汚職のありようである。

小泉がああだこうだと「カネを削りつつ票を得る政治」を展開している間にも、その裏ではこうして古い利権談合の政治構造が温存されていたということだろう。


日本のこうした政治風土、文化のその根は想像以上に深いのか。


しかしまあ、不況で大変だというこのご時勢に、日本では野党第一党の党首の公設秘書が汚職で逮捕されると。これまた悠長なことだ。