街頭演説を見聞した話など
昨日は「人数稼ぎの野暮用」があり、東京へ出かけた。行きの電車内で新聞を広げていると、自民党総裁選の広告が目に入った。
どうやら街頭演説のお知らせらしい。東京でやるのかな? と思い眺めてみれば、埼玉・千葉・神奈川と、見事に東京は外されていた。
逡巡した挙句、少しだけ足を伸ばして街頭演説を見聞しようと決めた。用事の終わる時間を考えると、1800から横浜駅西口高島屋前で開かれる会がちょうど良い。往復でも運賃は900円しか超過しない。
用事が済んだ後は、まだ時間があったので、巣鴨の地蔵通り商店街を散策した。とげぬき地蔵にも参拝した。托鉢のお坊さんを見かけたり、ラーメン屋の看板を掲げながら婦人服を売るお店があったりと、いろいろ面白いことがあった。
足が疲れてきたので、巣鴨駅から渋谷駅に出て、東急東横線に乗り込んだのだが、車内で著しく気分を害する親子に遭遇したので、その一部始終をここに書き留めておきたいと思う。
父親と4歳くらいの娘が、今回の主役。途中まではごく普通の親子であったのだが、ある行動を契機にぼくの印象は一変した。
無関心から憎悪へ、90度展開。
父親がリュックからフライドポテト状のスナック菓子を取り出し、それを娘に食べさせていた。ふいに、そのスナック菓子が娘の手から床に滑り落ちてしまう。
菓子は親子の隣で睡眠していた男性の足元へ転がっていったのだが、あろうことか親子、特に父親は、それを承知していながら完全に無視を決め込んだ。席を立って手を伸ばせば間違いなく拾える。むしろ断固として拾うべきだ。ここはあなた方の自宅ではないのだから。
しかし彼らは、拾うそぶりを一切見せない。これが悲劇の始まりだった。
彼らの横で寝ていた男性が起きて、電車から出ようと立ち上がったとき、その靴でスナックを踏み潰してしまう。しかし彼には何の責任も無いわけで、しかも早くしないと電車は出てしまうから拾って片付けるわけにもいかず、そのまま外に出ていく。
もちろんこの惨劇を目の当たりにしても、この非常識は悪びれもせず、長椅子に腰掛けてまぬけ面(失敬)を晒すことしかできない。
話はここで終わらない。今度は娘が、子供ながらの無邪気さからなのかどうかは知らぬが、持っていた傘でスナックの残骸をいじくりだした。
案の定スナックの破片は広範囲に散らばり、状況は余計に悪化する。当然の成り行きとして、父親は注意すらもしない。ずっと携帯をいじくっている。
せっかく自民党総裁選の街頭演説がライブで聞けると意気揚々電車へ乗ったのに、こんなにも不愉快な光景を見せ付けられてしまったのだ。
温厚な僕からあと少しで怒声が飛び出すところだった。もう心の声が前歯のすぐ後ろまで迫ってきていたが、食い縛ってぐっと堪えた。代わりに己が目でしきりに訴えたが、効果はいささかも認められない。
腹立たしいことこの上ない父親はもはや手に負えないが、他人ごとながら、娘の行く先がいささか心配ではある。
そうこうしながら件の親子は電車から降り、ぼくも横浜駅に到着した。
時間は1630を少し回ったころ。すでに西口には人だかりができ、その周りには大勢の警察官とSPが配置されていた。街宣車もセッティングしてある。万端準備は整い、あとは候補者を迎えるのみ。
ぼく自身も一般人が入れるぎりぎりのところまで進行した。絶妙のポジショニングだったと思う。ただ自分は背があるので、最前列は自粛。
候補者たちが来るまでは、神奈川県選出の国会議員たちが前座を務めた。ビートルズが来日したときのザ・ドリフターズのように。
全く存じ上げない議員もいたが、有名な方が登場したときはテンションが急上昇。
ざっとあげるだけでも、甘利明前経産相、菅義偉選対副委員長、川口順子元外相、鈴木文科相が演説を行い、また街宣車の中には河野太郎衆院議員の姿もあった。
正直なところ、1時間以上もずっと立ちぱなしだったので非常に疲れる。断続的に降る雨も応えた。
しかし、疲労がピークに達しようというところ、やっと5人の候補が到着した。興奮は底から一気に最高潮へ。
肝心の麻生太郎前幹事長が演説を始めたころにいよいよ雨脚が強まってきたので、一時退散したのが残念といえば残念だったのだが。
それでも全候補の話に耳を傾け、それぞれの主張を確かめることができたことは幸いだった。
小池百合子前防衛相はやはり中身に乏しいことがよく分かった。言うことだけは無駄にデカイので、余計空虚に聞こえてしまう。その主張は風船そのもの。まるで出来の悪いソフィストみたいだ。
これからに期待したい。ぼくはしませんが。
ぼくが秘かに応援する与謝野馨経財相の話は遠くから聞いたので、あまり耳に入らなかった。話された時間も、他の候補に比べて心なしか短かったように思う。
そうして今日、下馬評どおり、麻生太郎氏が自由民主党の新総裁に選出された。ほんとうはこのことを中心に書こうと思っていたのだが、思わぬ横槍に突かれた。また別の機会にしよう。
【追記】朝青龍がぷっつん引退してしまわないか心配だ。今日の取り組みを見たが、いったいどうしてしまったんだろう。