自民党は麻生首相で選挙に勝てるのか?
昨日の自民党総裁選挙で、前幹事長の麻生太郎氏が第23代目の総裁に選出された。
麻生総裁は明日24日に召集される臨時国会で首班に指名される。同日中に組閣を行い、皇居での認証式を経て麻生太郎内閣が正式に発足する。
自民党は麻生新首相の下で早々に解散総選挙へと打って出る腹積もりのようだ。ご祝儀相場なるものが出ているうちに選挙を実施すれば敗北を免れることが出来る、ましてや国民的な人気のきわめて高い麻生太郎が首相なのだから、と。
しかし事はそう簡単に運ぶとは思えない。おそらく今の自民党は、誰が総理になっても敗北を免れ得ない、そう強く感じられてしまう。
来月末か再来月の上旬に行われる予定の総選挙では、自民党の議席減少は避けられない。要はいかにしてその幅を狭く止めおけるかということだ。
その方法が麻生太郎という政治家を総理に担ぎ出すことであった。
いま有権者の間では自民党への根強い政治不信が渦巻いている。総理は立て続けに交代し、ゆえに“国民目線”の改革は遅々として進まず、政治家の失言や官僚のスキャンダルは引きもきらずに次々と明るみに出る。制度の不備を正す処方箋は一向に示されず、自民党にもはや政権は任せておけない、と多くの有権者は心に感じている。その意識は党首の交代で払拭できるほどに生易しい程度ではない。
自民党への不満は、表層的なものではなくもはや構造的な段階にまで達している。
であるならば、有権者の求めるは党首の交代ではなく政権交代であり、それを実現できる野党の存在だ。
加えてぼくは、麻生太郎の人気というものをそもそも疑問視している。単刀直入に言えば、麻生太郎というのはそれほど国民の間で広範な支持を得ている政治家ではない、ということだ。
先の総裁選では圧倒的な強さを見せ付けたが、それは比較優位の文脈で捉えるべきだ。つまり、他に適当な人物がいないから麻生太郎にしよう、という支持の形が多かったのではないか。
ニコニコ動画で実施された世論調査の結果がその可能性を裏付けている。有効性をいぶかしむ向きもあろうが、そのサンプル数は8万を越え、また麻生太郎が特に高い人気を得ていると言われる若者がその多数を占める可能性を合わせて考慮すれば、なおさら麻生太郎の人気は幻想的に過ぎるのだと言わねばなるまい。
おそらく自民党支持者の間でも、今回は民主党に投票しようその多くが考えるであろう。
基本的には自民党支持だが今回は民主党を推す。仮に、有権者の投票行動における浮気仮説とでも呼んでおこうか。
この似非仮説を援用すれば、例え麻生内閣や自民党の支持率が高くても、それで安心はできないということになる。
自民党不信が構造的だと考えるのはあくまでぼくの主観である。しかし、近く実施されまた公表されるであろう世論調査における麻生内閣の支持率が、その可能性を事実として認識させてくれると思う。
おそらくその支持率は5割前後。6割にはとうてい到達しまい。下手をすれば4割を切ることも十分に考えられる。
麻生新首相の人気はどうもイメージが先行している。今の時点では虚像と言ってもよい。まあまだ首相になってもいないんだから当然だけど。
これから着実に、総理としての実績を積み重ねていくことが肝要だ。それを見るためにも、今次の総合経済対策と補正予算は麻生新首相の力量を占う格好の試金石となるだろう。
【追記】ところで。所属する大学のゼミイベントの一環で、国政選挙の議席予測をすることになっている。
選挙はまだ先だが、早速第1回目の予測を披瀝したいと思う。今回はまだ本腰を入れて行わないので、大まかな数値しか出せない。
自民:200
公明:30
民主:220
その他:30
大体こんな感じじゃなかろうかと思うのだが、どうかな。自民も民主も単独では過半数を取れず、政局は政党再編へと必然的に動かざるを得ない、ってね。
ちなみに前回の参議院通常選挙では、投票日の1週間以上前に以下のような予測を確定させ、指導教官に提出した。
自民:40
民主:58
自民大敗・民主大勝という流れを読み、それを基にして予測を立てた。なかなかどうしていい線行っているのではないかと自画自賛してみるが、今回は予測する議席数がざっと4倍。大変だ。