誰があなた方の日常を見せろと?
ぼくはほとんどテレビ番組を見ないのだけど、冬休みに実家へ帰ったときには、他に何もすることがないので、こたつに入りながらぼけっと画面を眺めている時間が多かった。
なぜかふいにそのときのことを思い出したので、書いてみる。
見ていたのは民放のものまね番組。エンターテインメントの王道と言ってもいいこの“ものまね”だが、いやー、ぼくは度肝を抜かれましたよ。
何が驚いたって、出てくる人たちがぜんぜん本人に似てないの。要はモノマネしてない。だからといって、それを歌唱力でごまかせるほどの力量は無く、また清水アキラやコロッケのようなお笑い芸人的スタンスでもない。出演者たちはわりと真剣に(似ていない)歌を歌っているもんだから、なおさら、見ていて恥ずかしい。
松本梨香が「残酷な天使のテーゼ」を歌っているときなんか、もういたたまれなかった。耳を塞ぎたかった。目を背けたかった。画面を消したかった。そしてなぜこんな仕事を引き受けたのかと問い詰めたかった。
ぼくは思った。これはものまねに名を借りた“芸能人カラオケ大会”なのだと。
ものまねと銘打ってさえおけばそれなりの視聴率は稼げるんだぜうししし、とでも思ってるんだろう。そして案の定、一定の数字が出てしまう。
やっぱり民放の番組なんて見るもんじゃないな、と、再認識した。民放バラエティ番組を見ることの機会費用は、たぶんとてつもなくデカイ。