この耐え難い無能?

平日朝のニュース番組というと、自分はフジテレビ(業界用語でCX)の「とくダネ!」しか見ない。しかして、特にその理由は無い。ちなみにお昼の情報番組の場合、テレビ朝日の「ワイドスクランブル」が定番だったのだが、今現在はTBSの「ピンポン!」に完全にシフトした。

それはそうと。テレビのコメンテーターというのは、テレビ栄えするか否かが起用の第一基準で、コメントの質に関してはほぼ不問に付されているのではないか、と勘繰りたくなるような人物が実に多いが、その中でも一際その無能ぶりが目立つ御仁がいる。

前田忠明氏、その人である。

本職は(というか何か副業があるのかは知らぬが)芸能リポーター、もしくは芸能評論家で、まあ平たく言えば芸能界の事情通である。

いま事情通といったが、この前田忠明さんという方は、ほんとうに芸能界の事情に通じているのだろうか。そこを強烈に疑わざるを得ない、なんとも悲しいコメントぶりなのである。

率直に言えば、あの程度の評論(にもなっていないが)なら僕にもできる。おそらく少しませた中学生であれば、事実説明の他に、適当に気の利いたコメントを付加してくれるのだろうが、この前田さんは、そういったコメントはおろか、事情説明に関してもおよそコメンテーターの体を成していない。

じゃあ何なのかといえば、それはもう無能というほか無いのである。芸能評論家を名乗っておきながら、いわばその能力が素人以下なのだ。

では具体的にどうダメなのかを問われると返答が難しいのだが、端的に言えば、「それ、キャスターが言ってたこととおんなじじゃん!」という類のコメントがとみに多いような気がするのだ。

コメンテーターの役割というのは、アナウンサーやキャスターがある事柄についての客観的事実を述べた後に(どこどこでこんなことがありました)、それについて自己の見解や更に深い事情を披瀝して視聴者に「ほお、なるほど」と言わしめる点にあるのではないかと思う。

ところが自分は、この方のコメントに一度たりとも感心・得心したことが無い。


もはやこの番組に不要だとすら思うのだが、どうだろうか。スタジオの中でさえ、空気同様の存在と化している。たまにコメントを求められると、寒気がする。穿ちすぎだろうが、コメントを求めるほうも、若干躊躇しているように見受けられる。

本職の芸能に関してすらこの程度なのだから、それ以外の社会問題に関しては、推して知るべし、という所だ。

おそらく、というより間違いなく、他のレギュラー解説陣、例えばジャーナリストとしても一流の岩上安身さんのほうが、きっとクオリティの高い意見をくれる。


もっとも冒頭でも触れたように、優秀な解説者というのはめったに存在しない。なぜなら、優秀であればテレビなどに出ている暇など無いのだから。

テレビに出演しているのは、売名行為か、はたまたテレビでしか活躍できない電波学者なのか(福岡政行さんとかね。政治学者としての業績は皆無)、それとも優秀を通り越した遥か優秀な人材なのか、そのいずれかだ。


いずれにせよ、こういう事情を考慮すれば、前田忠明さんだけを悪し様に言うのはあまりフェアではない。まあ端的に言えば、自分はこの方があまり好きじゃないのかもしれない。

ついでに言っておけば、こうして他方では実名を出して対象を罵っておきながら、自分は匿名希望で安全な位置から言いたい放題というのは、実に卑怯である。これは認識している。

しかしそんなことを言ってしまえば、ブログ、もしくはネットでの言論なんて成り立ちすらできないのだろうけど。


だけど何だろう、ぼくが前田忠明さんに抱いている感情というのは、憎悪ではない。怒りでもない。諦念でもない。強いて形容すれば、哀れみ、とでも言えるのか。

最後はフォローのつもりだったんだけど、どうかな。最後の一押しだったような気もする。


いや、しかし、またもやここまで書いていて気づいてしまったのだが、実際のところ、自分は前田さんのコメンテーターぶりしか分からない。もしかしたら、活字のフィールドでなら、八面六臂、獅子奮迅の大活躍をされているのかもしれない、というのは容易に想像される。

いや、そうだ、きっとそうに違いない! でなければフジテレビの朝の看板番組で、芸能評論を一手に引き受けられるはずがないではないか。

そう思って、タイトルにも(?)を付けてみた。これぞまさにフォロー。