後期高齢者医療制度に思う

後期高齢者医療制度という新しい医療保険の制度が4月1日よりスタートした。

この新制度、姥捨てを思わせるネーミングと保険料の負担追加(しかも国民年金より天引き)とがあいまって、世間からの評判がすこぶる悪い。


ちなみに今までの老人医療制度とどこが違うのかと言えば、それは保険料が国民年金の給付額より源泉徴収されるという点である。被保険者資格や窓口負担などは変わらない(はず)。


小泉純一郎をはるかにしのぐポピュリストぶりを日々わたしたちに見せつけてくれる大マスコミの皆さんが、今回も世論の声を代弁せんとばかりに批判の先鋒として目覚しく活躍されている。


率直に言って、その報道のされ方がきにくわない。2点ほど指摘しておく。

1つ目は、なぜ制度が始まってから一斉に批判を始めるのか、ということだ。導入が決まってからではなく、実際に施行されてから後追い的に報道するというのは間抜けである。私たちにはこの制度が悪いものとはとても思えませんでしたと告白しているようなものではないか。

2つ目。制度導入の背景には、増え続ける国民医療費、とりわけその3分の1を占める老人医療費の急増という紛れも無い事実がある。新制度を批判するならば、この現状には一体どのようにして取り組むのかをセットにして語らないと、これはいかにも無責任な言論としか言いようがない。

もちろんほとんどの大マスコミは、ここを決定的に抜かっている。


私も分かってはいる。国が国民への責任を果たさないで、国民にだけはしっかりと責任を押し付けてくる。

もっともな意見である。とくに実際に被保険者となる高齢者の方々は憤懣やるかたないのだろう。だが、不満を述べているだけでは見えるものも見えてこない。


老人は病院に行かせないという厚労省の謀略だとそう言う人もいる。

しかしこうした陰謀論を弄するだけでは何も分からないのだ。


冷静に物事を見るべきではないか。なによりマスコミが沸騰してどうする。前向きな解決策を真剣に追求することが君たちの仕事ではないのか。


国民と一緒になって怒るだけなら、マスコミなんていらない。