「三浦和義逮捕」に思う

ある組織だけに長いあいだ属していると、外界のことがよく分からなくなってしまうらしい。世間の常識や一般的な感覚に、疎くなってしまうことがあるという。実によく言われることではある。


三浦和義という日本人が逮捕された。局によっては、ニュース速報まで流れた。ここで単純な疑問を抱かざるを得ない。この事件は果たして“ニュース”と呼べるものなのか否か、ということだ。私のようにまだ若い人間(〜30代)には、このニュースの価値が一向に分からないのではなかろうか。


「なぜ今頃?」とはテレビキャスター諸氏の言葉であるが、そっくりそのままお返ししたい心境である。


リアルタイムでこの報道に接していた中高年の方々は、びっくりなのだろうか? ということでこのニュースには、並々ならぬ違和感を感じた。いわゆるマスコミの感覚が、世間一般のそれと著しく乖離しているのか。そうとも考えられる。


ただ私は、今回の件を「メディアの報復報道」だと捉えた。


この三浦和義なる人物をメディアの寵児(とはいっても私は知らない)に祭り上げたのは、「ロス疑惑」と言われる事件である。今から20年以上も前に、彼の妻がロサンゼルスで狙撃されて死亡したのだが、その黒幕として彼自身が、つまり三浦和義がマスコミに糾弾されたのだ。この間に尋常ならぬプライバシー侵害などがあり、マスコミへの批判が高まったのであるが、結局この人物には、最高裁まで争った末、無罪判決が下された。ちなみにこの方は、マスコミを相手に訴訟飽和攻撃をかけていた。


それが今になって、突然に逮捕されたのである。マスコミの皆様は、かつての汚名を晴らし雪辱を期す絶好の機会を得たわけだ。


これは、わたしの考え過ぎなのだろうか。うん、考えすぎかな。
たしかに、日本の最高裁まで争って結局無罪判決が出た人間が、海外の警察に逮捕されるというのは驚きではあるかもしれない。しかし、それぞれの国の司法制度について少しばかりの知識があれば、そんなには・・・まあ珍しいってことはあるのかもしれないが。でも、速報まで流すほどのものなんでしょうか。しっかし、日経ですら社会面において最大限といっていいくらいに大きく扱っているからなあ(あの扱いには度肝を抜かれた)。


どなたか、ぼくにこの事件の真価を教えてください。



もしやアメリカの陰謀ですか??


今回の逮捕が、沖縄駐留米軍の立て続く不祥事への関心を逸らすために画策されたものだとしたら。だって、日本人が日本人に起こした事件ですよ。ただ場所がロスだったってだけで。しかも20年以上も前なのに。
手嶋龍一さん、佐藤優さん、教えてください!
ただそれにしたって、マスコミがこうも「にんじんとウマ」的に見事な、出川哲郎もマッツァオなリアクションを返してくれないといけないわけだからねえ。


いやいや、ここでもう少しだけ想像の翼をはためかせてみよう。実は、マスコミ報復報道仮説と、アメリ陰謀論仮説を符合させると、両者の利害一致という面白い構図が浮かび上がってくるのだ。マスコミは三浦和義に復讐したい、アメリカは日本の世論を米軍不祥事から他に向けさせたい。ここに運悪く登場してしまったのが、三浦和義であったのではあるまいか。もちろん、99%冗談で言ってるよ、ぼくは。


とにもかくにもこれで「最新の真実」が明らかになるのは確かでしょう。もちろん、裁判を通して。



いやはや(ぼくごときが言う言葉じゃないが)。



※本文中、三浦和義氏及び出川哲郎氏に関して敬称略