武田鉄矢「少年期」

武田鉄矢というと真っ先に思い浮かぶのは「金八先生」だが、芸能界デビューはかのフォークグループ「海援隊」のヴォーカルとしてであり、「幸福の黄色いハンカチ」で俳優としての活動を始めるまでには、それから更に数年を要した。

若い人の間では、武田が歌手だったことなど知らないというのが大勢だろう(そんなこともないか)。「金八」の印象が強すぎるのもその原因かもしれない。

しかし歌手としての武田鉄矢という存在は、決して無視し得ないものがあると思う。声は良いが歌は下手、などと言われているが、愚にもつかない歌唱力を、勢いだけで隠蔽しているような歌手が大手を振るってまかり通る昨今、武田鉄矢五臓六腑に染み渡るバラードは、かえってまったく新鮮に聞こえる。

来年どころかひとつきも経てば聞かれなくなるような歌が、オリコンのヒットチャート上位を席巻するお寒い時代だが、こうして何十年も、細々とでも人々に聴かれ歌い継がれる歌こそ、ほんとうに価値があるのだと思う。

それはともかくとして、武田鉄矢の代表曲としては「贈る言葉」を挙げるのが妥当だろうが、ぼくはあえて「少年期」を推したい。

この曲はドラえもん映画「宇宙小戦争」のテーマソングである。ドラえもん映画の楽曲は名曲揃いだが、その中でも指折りと評価が高い。

武田鉄矢ドラえもん映画の第一作目から、主題歌の作詞を手がけていた。時には自らそれを歌いもした。淡い旋律と優しい歌詞は、聴けばかならず思い出す、とても印象深いものばかりだ。


歌詞を転載したいところだが、そうするとカス…もとい「著作権ポリス」JASRACの輩がどこからかすっ飛んでくるので、止めておこう。


来年から社会人になる自分にとって、この歌詞とメロディは切ない。



ああ、ぼくはいつから大人になったんだろう。




ドラえもん映画主題歌集

ドラえもん映画主題歌集