公表の方法は適切だったのか〜大相撲力士薬物検査を巡って〜

大相撲の外国人力士が大麻所持で逮捕されたのは記憶に新しいが、先ごろ日本相撲協会が抜き打ちで行った薬物検査において、新たに2名の外国人力士から陽性の薬物反応(大麻)が認められた。

両名とも大麻吸引や所持を全面的に否定している。一方の力士が日本相撲協会北の湖理事長の部屋に在籍していたため、理事長の責任や進退如何にまで事態は発展していきそうな状況である。

ところで、力士たちに対して実施された薬物検査の方法は、いわゆる簡易的な検査で、陽性の反応が出たからといってそれが即実際の吸引行為に結びつくかというと、どうもそうとは言い切れないようだ。日本相撲協会は疑いのある両人に対して近く精密検査を実施する方針である。


ここで考えるべきは、検査結果の公表方法だろう。疑いのある2名はあくまで疑いの段階にとどまるものであり、言うならば限りなくクロに近いグレーと言えようか。

クロであった場合はそれでよい(よくないが)。しかし両人が本当はシロであったとき、彼らの社会的な信用は、残念ながら既に回復不可能なところにまで達しているだろう。

これではあまりに気の毒である。実名まで公表するのではなく、2名に陽性の反応があり、近く精密検査を実施する方向で調整している、くらいにしておけばよかったのではないだろうか。つまり簡易検査の段階で実名の公表に踏み切ったことはやや早計であったのではないかということだ。


もちろんこれはそのほか多数の犯罪にも言えることだが、今回のエントリーでは触れない。


今は精密検査の実施とその結果の公表まで、見守るしかない。