民主党は妥協すべし!

それが誰なのかは分からないが、よほどの政局好きが民主党にはいるらしい。


政府与党は、いわゆる暫定税率の維持を盛り込んだ道路関連法案の年度内成立がほぼ不可能となったことを受けて、同法案の修正に着手したらしい。

法案の具体的な内容はまだ不明だが、暫定税率維持の年限を10年から数年に縮小し、その暫定税率一般財源化するという、率直なところ相当幅、民主党を中心とした野党へ妥協した案である。

しかし民主党は、安易な妥協は断固拒否するとして修正協議に応じる姿勢を見せていない。自分の案を与党が丸呑みしないと納得できない、ということのようだ。

政治は妥協の産物であるとは、よくもよくよく言われた格言であるが、民主党は与党が投げたこのボールを、みすみす見逃す愚だけは絶対に避けるべきだ。


ここで私見を述べさせていただく。暫定税率を含めた道路特定財源は、全て一般財源化すべしと私は考えている。そうなれば通常予算の枠内で他の政策予算と一緒くたに議論できる。透明性も高まる。

そもそもこの日本に、離島を除けば道路で行けないような人里が存在するのだろうか。答えは否だ。ほとんど全ての日本人はすでに、道路でつながっている。

道路だけに特別の予算を割く必要性は、もはや見当たらない。一般会計の中で他の政策領域と共に議論していけばいい話である。

現在の計画道路は、再度それを吟味して絞り込む。その結果浮くことになる道路財源は、その都度減税していくか、あるいは他の領域に振り向ける。ただ私は、もともと道路のために回収する税金であるから、それに関しての必要性に乏しくなれば減税するのが筋と思う。


話がそれてしまったが、今回の民主党の対応に関する私の見解は、上記のような観点から成されている事をご理解願いたい。

そこから考えれば、与党の修正案はもちろん完全ではないにしても、全的な見直しにつながる小さくないステップとして評価できると思う。

これはおそらく、今の自民党のできる最大限の譲歩であろう。それが証拠に、党内では道路族を中心としてこのような修正に反対する姿勢を見せる向きも少なくない。

下手をすれば、与党はせっかくのこの修正案を引っ込めてしまう可能性もある。民主党は今こそ与党との修正協議に応じて、与党内の反対勢力封じ込めのために共闘すべきだ。


少しだけ付け加えておく。この道路特定財源一般財源化には、ほとんどすべての地方自治体が反対の姿勢を鮮明にしている。

常識的な理解では、地域経済を支える公共投資に振り向けられる予算が少なくなるのがその理由とされる。これは間違っていないが、ここにはいわゆる三位一体改革が積み残した問題が背景として存在する。

道路特定財源地方自治体にも振り分けられている事実は、広く知られるようになった。国家予算では特別会計だが、地方予算では一般会計に分類される。

三位一体改革では、地方へ3兆円の税源委譲がなされたが、その2倍以上の10兆円近い地方向けの予算が実は削減されている。それゆえ地方の予算編成は非常に苦しい状態が続いている現状がある。差し引き約7兆円のマイナスだ。

地方自治体が特定財源一般財源化に反対するのには、こういった背景もあるのだ。


また話がそれた。地方経済の活性化策は別枠で議論しよう。なにより民主党は、政局に目が眩みこの好機を逃すような愚かさを晒してはならない。与党が投げたこのボール、送りバントでいいからしっかりと打ち返して欲しい。