高橋尚子さんについて
高橋尚子さんは引退を明確に否定されたが、これは本人のご意思なんだろうか。
こんなことに疑義を呈するのは差し出がましいことかもしれませんが、どうもそれとは違うんじゃないかという感覚を抱いてしまうのです。
簡潔に言いましょう。高橋さんは止めたい、つまりは引退したいのだが、そうさせてくれない「力」がいずこよりかけられ、したくてもできない。
全くもってぼくの勘なのではなはだ恐縮ではありますが、彼女の様子からは、もっと走りたい! という気持ちがあまり伝わってきません。
むしろ「もう疲れました」という思いが、あの小さな顔一杯に隠しがたく広がっているように感じられて仕方が無いのですが、いかがでしょう。
止めるタイミングがつかめないのでしょうか。あるいは区切りのつけどころを見極めているのでしょうか。
止めたくても止められない、というのが真実に近いのではと思います。
高橋さんはもしかしたら、世間の「がんばって」を私たちの想像以上に重く受け止めているのではないでしょうか。だとしたら、彼女を止めさせないのは私たちのせい、ということになります。
もうそろそろ、引退させてあげてもよいのではありませんか。見ていて痛々しいです、極めて失礼な言いようですが。
彼女はもう十分すぎるほどに頑張りました。世間からの無慈悲な「がんばって」の声に応えて。
今の彼女に必要なのはそんな「がんばって」の掛け声じゃなく、暖かい「おつかれさまでした」の労いの言葉ではありませんか。