ニュー・シネマ・パラダイス

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ぼくの大好きな映画の1つです。このニュー・シネマ・パラダイスには、完全オリジナル版と劇場公開版の2つのバージョン(ほんとうはもっとあるらしい)がありまして、ファンの間ではその内容の良し悪しを巡って長年に渡る議論が続いています。

もちろんみんなニュー・シネマ・パラダイスが愛おしいわけですが、巷間の評価は、劇場公開版に少なからず傾いています。

オリジナル版は3時間にも及ばんとする大長編ですが、劇場公開版は120分。両者の間には60カット・51分の差があり、その内容も大きく異なります。

私は先に完全オリジナル版の方を鑑賞しました。感動で涙が溢れ、その涙で水溜りができるほど泣かせてもらいました。

しかし、劇場公開版の方がより高い評価を得ているという事実が気になっていましたので、このたび、そちらの方も拝見させていただいた次第です。


率直に感想を申しますと、私は完全オリジナル版の方が好きですね。劇場公開版の方は、主人公とその思い人との恋の結末を大胆にカットしているだけではなく、本作のもう1人の主人公である映写技師のアルフレードとのエピソードもところどころ割愛しています。

正直なところ、きわめて中途半端というのが私の印象です。主人公のトトとアルフレード、そしてエレナ(主人公の思い人)。その両方に関して描写が明らかに不足しており、感動のクライマックスを紡ぎきれていません。

カットしてスマートになったというのではなく、切りすぎて平凡になってしまったという具合です。


しかしこの映画のどちらの版をより好むのかという議論は、おそらくそのどちらを先に見たのかという事実に左右されるのではないか、と私は思います。


どちらにせよ、映画史に冠絶する傑作であることは間違いありません。