「江角マキコ」考

昼下がりの午後、洗面台でひげを剃りながら、耳だけをテレビのワイドショーに向けていた。

ジュエリーが似合うんだか似合わないんだか、とにかく芸能人がその関係で表彰されましたという、普段のぼくなら聞き流しているニュースだった。

しかし耳だけはそちらを指向しているので、必然的に、アナウンサーのハイクオリティーヴォイスに乗ったニュースの内容が入ってくる。

どうやらそのジュエリー表彰には、年齢別に部門が合ったらしい。20代がだれだれ、30代がだれそれ。そして40代のところで、髭剃りは突如、中断を余儀なくされる。


「40代、江角マキコさん」


ええっ!? 江角マキコって40代なの??? 衝撃でした。てっきり、30代半ばあたりなんじゃないかと、思っておりましたので。



江角マキコといえば今になっても思い出されてしまうのが、国民年金保険料の未納。社会保険庁の年金イメージキャラクターに起用されていたもんだから、ああ大変。弱きを挫き、強きをたすくマスコミのみなさんは、必殺メディアスクラム大パッシングを発動。


そりゃあねえ、保険料が未納なのに、そういう仕事を引き受けてしまった江角さんにも非があるでしょう。しかしね、未納者にそういう仕事を依頼する社会保険庁って、どうなのさ。

しかもその後、政界や芸能界に年金保険料未納者が続出。


今になって、社会保険庁の皆々様が、いかに情報管理能力に優れていらっしゃるか、全国民の知るところとなったわけですけどね。


マスコミは、江角さんに謝罪されたんですかね。あなたよりもっともっと、悪い人たちがいましたって。取材して調査して、記事にしてあるいは電波に載せて批判すべき対象は、他にいましたって。